おかけんたの「えぇ~アート」#13

見える 見えない 展

BELOVED STUDIO

♪えぇ~ 展覧会を ディレクション や コーディネート するって大変。私も96年から98年まで 『OCHA』OSAKA CONTEMPORARY HUMAN ART (大阪現代人アート展) という、よしもと芸人 (ハイヒール 他) と ミュージシャン (桑名正博 他) を中心とした 展覧会 を アーティスト の リキュー さんと共にディレクション。
第1回目は心斎橋にあった ソニータワー大阪 (現 ラ・ポルト心斎橋) でミュージシャンのライブも含めた展示を実施。
オーディエンスの投票によりグランプリに輝いたのは、しましまんず 池山心 くんが発表された 地球に見立てたキャベツが日々腐っていくさまを表現した作品。
この頃 池山 くんは、舞台でよく 「ボケボケボケボケやがな」 と相方の 藤井輝雄 くんにツッコんでいたのですが、グランプリを獲得した作品を観て芸人たちが一斉に「マジマジマジマジやがな」 と ツッコんでいたのが印象的でした。

で、そういったアートの企画なんですが、 素敵な展覧会をコーディネートされている 湯浅 央子 (Eiko Yuasa) さんが企画展を手掛けられるということで、どういった経緯で コーディネーター を務めるに至ったのか 。そのあたりをおうかがいしてきました。

湯浅 さんは、日本画や陶芸などの美術・芸術系の大学の先生方が出入りされている家庭に育ち、東京には 日本古美術コレクター で著名な オーストリアの経営学者 ピーター・ドラッカー 氏とも親交があった 古美術商 を営む親族がいる、筋金入りの アートラバー ファミリー。
小学校の頃、皆がカワイイものに心惹かれる中、湯浅 さんは 畳職人 などの匠の技に興味を持ち

湯浅「手を動かしているのを、ずっと見ていました」

と、周りがリカちゃん人形を手に取り遊んでいたのに対し、彫刻刀を手に取り木彫りに興じていたそうです。

ターニングポイントとなったのは、高校時代。著名な書家 秀島踏波 先生の書道の授業。全員何故か、体操服着用。教室の床には紙が敷き詰めれ、生徒は片手にぞうきん。

秀島先生「書きなさぁーい!」

周りがドン引きしていたのにも関わらす、湯浅 さんだけが 墨でドロドロになりながらも「キャッ キャッ」と大はしゃぎ!

洗礼は続きます。

秀島先生「1ヶ月に10個の展覧会に行き、感想文を書きなさぁーい!」

クラスメイトと展覧会を観に、京都や中之島へ。その後、湯浅 さん と お友達 は、骨董通りの老松町にも。

湯浅「仏像の手だけを見て、いいなぁーと、手の美しさを感じていました」

畳職人の時と同じく、“ 手 ” に惹起されたようです。

大学時代は、あのバブル期。流行りのお立ち台ディスコへは一度も行かず、骨董品街界隈へGO!
絵画の油絵具の匂いのリアル感に「うわぁー」。そして、北大路 魯山人 の焼き物に触れ「何十年前の亡くなった人と、手を繋いでるやでぇ」 と言われ 「うわぁー スゴい!」と思い、 陶芸やガラス工芸を習い始める。

2つ目のターニングポイントは、国立大阪病院の先生の私設秘書を務めていた時。
先生が骨董好きで、京都の古美術店内で特別なお客様しか入れない奥の展示スペースに案内され、加藤 唐九郎 の お茶碗 などに心震わせ、感動。

結婚を期に退職するが、展覧会やギャラリーに足を運ぶ生活をするも、子供が2歳の時に離婚。そんな時、ふらっと立ち寄った宝塚で、自宅をギャラリーにされているTIPTOE (ティプトゥ) <注>[現在は閉廊] で、 「良さがわかるでしょ。それをプロモーションするのが私の仕事。いずれやってみたら!」 と、女性代表からアドバイスを受けます。その後、たまたまチラシで見つけた サコダアートオークション に、パートとして勤務。
そのオークションカタログ製作の作品撮影の際も、油絵具の匂いに 「わぁー」。

リーマンショック後、 神戸メリケンパークオリエンタルホテル にて開催された アートフェア『神戸アートマルシェ2009』。それに、京都国際会館 や ホテルモントレ京都 で開催された アートフェア『ART KYOTO 2012』にも携わり、知識や仕事関係の繋がりも十分。
満を持して、サコダギャラリースペースで 魯山人 や 唐九郎 の器に アバンギャルド な花を活ける、花と絵画の展覧会『器に活ける』を コーディネート 。

その後は神戸の レクサス住吉山手店 で、 高田ケラー有子 × 中島麦 他、レストラン や クリニック などで 展覧会 を コーディネート され、大阪 西天満 の YOD Gallery の企画のお手伝いなどを行い、2023年3月 には BELOVED STUDIO で白と黒 展 を開催。

今回は、その BELOVED STUDIO での2回目の企画展、「見える 見えない 展」。

画像①
浅香 弘能
《KASHOUMON – The Box of Truth -S》

https://www.hiroyoshiasaka.com/

@hiroyoshi_asaka

一見、発泡スチロールの作品のように見えますが、実は大理石を素材とした作品。画像の箱と蓋は、発泡スチロールと大理石。どっちが発泡スチロールか、わかります?

画像②
nAo OKAMOTO
《Gap in Space [ The Moon & shimmer]》

@artist_nao_okamoto

キャンバスに浮かび上がる Bubble。光の当たり方により、表情が一変。ニューヨークで生み出した オンリーワンな技法で 森羅万象 を表現。

画像③
斉 Sai
《浄闇》

@sai_fucufucu

版を用い、質・翳・光で想起させるインスタレーション。石 (加工済み) には、未来からの記憶 が刻まれているのでは?という デジャブー的 な作品。

画像④
金 愛子
《Untitled》

https://golda0711.wixsite.com/-site

@goldaikoartworks

顔の立体作品とドローイングを展示。内なる光と影が伝わってきます。ドローイングは動きのある作品で、陽炎のよう。

画像⑤
黒田 恵枝
《NO.153 もけもけもの》
《NO.154 もけもけもの》
《2022.8.27 14:42:44 -Stories-》

https://kurodayoshiemokemo.wixsite.com/artwork

@yoshiekuroda_art

廃棄衣類を手縫い作業で動物たちに生まれ変わらせ、 死→生 へと導く。「くつろぐわぁー」という会話が聞こえてきそう。

画像⑥
小山 航平
《研究対象:X < 1=X × Y》 大島

https://koyamakohei.jp
@koyama_kohei_

アナログフィルム合成 という写真の手法で制作した作品。作品脇には実在から非現実まで を表現したインスタレーション。断片的な4枚のフィルムが、片目を瞑って見ると、1枚の写真に。

画像⑦
刺繍する犬 作品

@stitchdog_geek

基盤や音波などのモチーフに、細かな手仕事によるエモーションが加味されたオリジナリティー溢れる作品。あとネット販売されている “ 作品の断片としてのグッズ ” が、その場で購入が可能。 ファンとしては、嬉しい展示。

画像⑧
下村 優介
《exhipigeon.》

https://kirie-shimomura.wixsite.com/papercutart

@shimokirie

紙を切ることにより作り出される影や動きで、空間が満たさる作品。今回は 『見える 見えない』 がテーマなので、壁の色と同化する白い作品と、テーブルにステンレスの作品も展示。

画像⑨
Lily Pepelotta
Wordsシリーズ《Jump》

『Words』=『言葉』をテーマに、
『言葉』を伝達するための『文字』を『言葉』のように、繋がりで表現。立体的な見え方で、Words に命が吹き込まれた作品。

本展は展示の他、“ 見えない香りを感じる ” ワークショップも開催 。

“ 見えるものと見えないもの ” の 間に存在する 感覚的な何か を具現化された 本展。それは、湯浅 さんが 骨董 という 時を超越した 美 の 探求 にも似た 世界観 が、油絵具の匂いに「うわぁー!」と発した臭覚の感銘が、ワークショップ の オーガニックアロマオイル の 記憶に残る香り へと繋がっていきます。

湯浅さん、来年のご活躍、私には見えてきましたよ ・・・ といいながら、自分自身が全然見えてない おかけんた でしたぁ~ ♫

画像⑩
湯浅 央子 さん

見える 見えない 展

BELOVED STUDIO

2024年11月21日(木) – 11月24日(日)
13:00 – 19:00 ※24日(日) 13:00 – 17:00

出展作家 (五十音順)
浅香 弘能
nAo OKAMOTO
斉 Sai
金 愛子
黒田 恵枝
小山 航平
刺繍する犬
下村 優介
Lily Pepelotta

コーディネーター
湯浅 央子
https://www.eiei-coordinate.com/art-coordinate
@eiei_eiei

BELOVED STUDIO
〒540-0005
大阪市中央区上町1-8-2 協和ビル1F
TEL06-7896-7745
http://www.beloved-studio.com/home.html
@belovedstudio22

香りのワークショップ
折立美奈子 (アロマセラピスト、アトリエ ティロワール)

21日(木)
①14:30 – 16:00
22日(金)
①14:30 – 16:00
②17:00 – 18:30
23日(土)
①14:30 – 16:00
②16:30 – 18:00

予約方法
Atelier Tiroir の Instagram からDMで
参加日時をご予約ください

Instagram
@atelier.tiroir

おかけんた
1961年3月28日生まれ。1983年に漫才コンビ「おかけんた・ゆうた」を結成。1986年「第17回NHK上方漫才コンテスト」優秀賞、1997年「第32回上方漫才大賞」奨励賞、1999年「第34回上方漫才大賞」大賞など。
並行して、アート分野で活動を開始。1994年〜1995年「東京国際AU展」作品展示(東京都美術館 )。1995年株式会社スプーン公募展でグランプリを受賞。1996~98年「OCHA(大阪コンポラリーヒューマンアート)」をプロデュース。2014年からは「京都国際映画祭~映画もアートもその他もぜんぶ~」 でアートプランナーを務めた。「ART FAIR TOKYO」アートトーク (2007年~2010年)、「ART OSAKA」イベントMC (2008年~2012年)、「草間彌生 永遠の永遠の永遠」 国立国際美術館 ギャラリートーク (2012年)、ギャラリーA-LABのアドバイザー(2015年~)、京都精華大学客員教授(2018年~2020年)、「茨木映像芸術祭」審査員(2021年)、「Any kobe2022」トークイベント (2022年)などを歴任している。