横浜美術館リニューアルオープン記念展
いつもとなりにいるから
日本と韓国、アートの80年
横浜美術館

展覧会入口
♪えぇ〜 Xさん が
「おかさん、いつもブログ見てますよ!」
と声を掛けてくれたのは、2007年11月に 青井画廊 で開催された、村上隆 さんを始め タカノ綾、青島千穂、Mr.、坂知夏、國方真秀未、佐藤玲 のグループ展、 20周年記念展『KaiKai Kiki Selection』のレセプション 。
青井画廊 は、村上隆 が若手の頃から展覧会を行ってきた 大阪のギャラリー 。 本展で村上は、 球体に目が描かれた《掌めめ》(黒・銀) 、お節料理の一品 くわい をモチーフにした《くわい》を発表 。
この日 展示作品をひと目みようと、日本全国から コレクター や アート関係者 が集い、ギャラリー だけでなく 廊下 にも 人が溢れ出し、そりゃもう大騒ぎさ!
コレクターのXさん、お話をうかがうと雑誌にも紹介された著名な コレクター。実は私 おかけんた も、この頃 毎日 展覧会情報 を ブログアップ していて、関西では「けんたさん、いつもTV見てます!」というリアクションなんですが、東京のギャラリー に行くと「おかさん、いつもブログ見てます!」 と、違う顔のさし方 をするんです。
そんな話を交えながら Xさん とアート話をしてたら、当然の如く意気投合。関東方面に コレクター の知り合いが少なかった私は、早速 連絡先を交換 。
12月27日に ルミネtheよしもと の出番で東京に行くことを Xさん に伝えると、
X「その日、中ザワヒデキ さんの展覧会初日なんで、そこで会いましょう!」
そんなこんなで、『中ザワヒデキの全貌 – 記号と色彩の絵画 -』Bunkamura Gallery で再会 。早速作品を鑑賞していたら、OLさん がふらぁーっと入って来て、数分で サクっ!と うん十万円 の作品を購入。「うわぁー、東京ってスゴいなぁ」と感心しきり。そんな中 Xさん は、アーティスト や アート関係者、コレクターなどと親しげに話しながら いつの間にか作品も購入 。
Xさんって、一体何者?
というわけで今回は、美術館にコレクションが展示されるコレクター に焦点を当ててみたいと思います。
Xさんは、横浜生まれ。 母が商店街で 薬局 を営み、父も 薬剤師 という家庭の長男として産声をあげました。
X「海水浴や潮干狩り、伊勢佐木町の縁日とかに連れてってくれました」
浜っ子 って、感じですね。
幼稚園の頃には 絵画教室 に通い、描き方や絵の見方、陰影をお勉強。後に 習字も四段 を取得するなど、実に末頼もしい男の子として成長。
小学校1年生から3年生にかけて どハマりしだしたのが、切手。そう、世は空前の切手ブーム。早朝の郵便局の前には 記念切手 を買い求める 人たちで行列ができ、どこの商店街にも 切手とコインのお店 があった程の過熱ぶり。そんな中 Xさん は ガイドブックで切手の知見を深め、シートをノートに挟み クラスメイト と切手を交換したりして、楽しんでいたそうです。
X「『月に雁』とか『見返り美人』とかに夢中でした」
私も 切手 集めてたんですが、〔写楽〕 と言われていた 東洲斎写楽『市川蝦蔵』が欲しくて欲しくて、夢にまで出てきたくらい欲しかったんですが、その当時 小学生 の お小遣い では買えず・・・断念。
Xさん、その頃熱中していたのは、意外や意外『阪神タイガース』。
X「父がタイガースファン。村山実 が好きでした」
今では想像もつきませんが、Xさん が タイガース の帽子被ってる姿。見たかったなぁー 。
私立の中学校からそのまま エスカレーター式 で高校へ進学。Xさん が次に興味をそそられたのが、映画。映画館に足繁く通ってはパンフレットやチラシを集めだし、洋画を多数紹介していた映画雑誌『スクリーン』や『ロードショー』の付録に付いていた ポスター も収集。それに 映画のサントラ盤 も購入し、ポール・ニューマン / ロバート・レッドフォード 主演の『スティング』などのレコードを聴きまくり、様々な映画について探究していたそうです。
X「アル・パチーノ が好きでした」
映画、私も中学生の時に 映画を観てはパンフレットを買い 、チラシもらって、サントラ盤(シングル)を買って、映画雑誌を友達に見せてもらってたので、とてもよく分かります。
ちなみにアル・パチーノ主演の『スカーフェイス』は、私の大好きな映画の中の一本です。
そんな時、TVで偶然見たのが ピカソ の特集番組。
X「ピカソってオモシロイなぁー」
Xさんの部屋には、映画のポスターやサントラ盤、阪神タイガースのペナントなどが飾られており、一番デカかったのが パブロ・ピカソ の 《Guernica》(ゲルニカ)のポスター 。
X「ゲルニカ、ずっと飾ってました」
ある意味、アートに関するコレクションの第1号!それが『ゲルニカ』とは驚き。
その後大学を卒業し、就職。そして結婚。
1991年、新築のマンションに飾るため、シロタ画廊 で大好きだった 現代木口木版画 の 柄澤 齊 の版画を購入。これが キッカケ となり、デビュー当時 数々の賞 に輝いた 山口啓介 の大型銅版画 など、日本の版表現の作品 を中心に コレクション を開始。長期に亘り大切にできるもの をチョイス。
X「限られた予算だけど、生きてきた同時代の日本人作家のミュージアムピースを集めて、応援。自分の美術史を創ってました」
私も同じくこの時期 関西のギャラリー に足繁く通い、山中現、武田史子 などの版画を購入。ギャラリーのバックヤードで「これまだ 目垢 がついてないんですが」と店主に言われ、送られてきたばかりの版画のグラシン紙をめくった瞬間、摺り立ての キラキラ とした きらびやかさ に心奪われ、「これもください」と、よく 追加購入 したもんです。
Xさん、当時は ネットもSNSもなかった時代 、国内の現代版画 などに関することを 本や雑誌 などで徹底的に学び、知識も兼ね備え、ここぞと決めたギャラリーの池田美術、アートフロントギャラリー 他で、荒川修作、山本容子、李禹煥 などの版画作品を購入。
時には車で家族と共に関西まで出向き、サッカー観戦の合間に galerie 16 や ノマルエディション など、狙いを定めた ギャラリーや美術館 を訪問 。そんな最中、1996年に京都市東山区にある アートスペース虹 で、数人のエレベーターガール が 座り込んだり 寝そべったりしている 写真表現作品 、やなぎみわ の 1.8✕4.5m の大作〈デパート・エレベーターガール〉シリーズの《案内嬢の部屋 地下3階》に一目惚れ 。ギャラリーオーナー が「世界に出ていきますよ」と告げたとおり、購入した《案内嬢の部屋 地下3階》が、日本や韓国で開催された『日韓現代美術展』など 美術館 に展示され、ついに ミュージアムピース として 美術館 への初貸出 が実現。
こうなると、もう勢いは止まりません。
木村秀樹 の代表作である ペンシルシリーズ や、現代芸術家の 森村泰昌 作品など、購入した作品は50点以上。この頃になると “ サラリーマンコレクター ” として 雑誌の取材 を受けたりと、アートコレクターへの道 を着々と歩み始めていました。
がしかぁーし
ここで Xさん、ふと考えた。
X「今の時代、これからの時代、どういう作家・作品を集めるのがいいのか?」
そんな時に出会ったのが、1993年に 東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程 を修了し、論文『美術における「意味の無意味の意味」をめぐって』で、日本画科初 の 博士号を修得 した 現代美術家、村上隆 。村上は、日本画 をベースにして 漫画 や アニメ などの オタク文化 を合わせた POP+OTAKU ⇒『PO+KU ART』(ポックアート)や、ポップカルチャー と 日本の伝統的 な 浮世絵 や 琳派 などの 平面性 を融合させた『SUPERFLAT』(スーパーフラット)などで著名な、世界のトップアーティスト 。近年では、『LOUISVUITTON』(ルイ・ヴィトン) とのコラボでも有名ですね。
Xさん 何時もの如く 徹底的にリサーチ したら、もう居ても立ってもいられなくなり、村上隆 の展覧会、村上隆「狂ったZ」展(1995年) を行った SCAI THE BATHHOUSE へ出向き、ギャラリーが預かっている作品を見せていただくことに。
Xさんが SCAI THE BATHHOUSE を訪れた 1997年から1998年頃の 村上 は、『たけしの誰でもピカソ』(テレビ東京)のコーナー〈アートバトル〉の審査員を務め、人気もうなぎ上り。当然、最新作の価格も高騰。
X「買えるもの、集められるのは、初期しかない。今がチャンスだ!」
この時は過去作品を2点程買われたそうで、「あとは取っといてください」と 残り数点も全て購入するぞ!そう心に決め、ギャラリーをあとにしました。
村上隆 コレクション の 幕開け です。
2000年以降も 村上の初期作品との出会い があれば、こつこつ購入。村上世代の同時代の作家 にも注目し、コレクションの幅が拡大。
こうなってくると、ギャラリー、美術館、作家、アート関係者 などとも多数知り合い、自宅からほど近い 草間彌生 や 横尾忠則 などの 版画を手掛けていた 岡部版画工房 とも深く繋がり、度々訪問。
X「版画工房に頻繁に通うことで、まじかで版画を作るのを見て勉強になり、制作に興味を持ちました」
そのうち工房から「版画を作ってみない?」という話があり、2013年、村上隆 主催の『GEISAI』に出展していた ある若手女性作家の版画 を、手掛けることになります。
2017年には、ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館 の出展が決まっていた、現代美術家 の 岩崎貴宏 の 版画制作 に携わり、作家&ギャラリーを応援 。その後も ギャラリストの縁 から、2020年には、中野裕介 / パラモデル による 赤塚不二夫トリビュート作品 《ばCAR/ベラマッチャ》の版画制作を行い、近年では 大山エンリコイサム の版画制作にも協力。

中野裕介 / パラモデル
《ばCAR/ベラマッチャ》
2020
Yusuke Nakano/Paramodel
BaCAR/BERAMACCHA
2020
364mm ✕ 257mm
edition 50
版画、紙/print on paper
(c)Fujio Akatsuka−illustrated by Yusuke Nakano 2020
courtesy of MORI YU GALLERY
そんな Xさん の 村上隆コレクション も含めた企画展
横浜美術館リニューアルオープン記念展
いつもとなりにいるから
日本と韓国、アートの80年
が、横浜美術館で開催中。
本展は、1945年から現在までの80年間の 日本と韓国のアートの歩み を紐解くもので、2026年5月から 韓国の 国立現代美術館(MMCA) でも開催。2館の共同企画展 。準備期間に3年を費やし、50組以上、160点もの作品が展示されている、リニューアルオープンに相応しい展覧会。
内容は、
★Chapter1
はざまに 一一一
在日コリアンの視点
日韓国交正常化(1965年)以前の、在日コリアン作家 の活動 。
★Chapter2
ナムジュン・パイクと日本のアーティスト
ヴィデオ・アート の先駆け ナムジュン・パイク と、日本人作家 との 交流 。
★Chapter3
ひろがった道
日韓国交正常化以後
アートを通した日韓交流 の本格的なスタート地点。
★Chapter4
あたらしい世代、
あたらしい関係
中村政人、村上隆 による『中村と村上展』(ソウル、東京、大阪)を起点に、同時期に台頭した イ・ブル の作品をあわせて展示 。
★Chapter5
ともに生きる
日韓作家の、1980年代から現在までの作品 。
と5つの Chapter に分かれ、Chapter3からは1965年の 日韓国交正常化 以降の 日韓の現代美術の動向 が分かりやすく展示されています 。

中村政人
トコヤマーク/ソウル
Barber Pole/Seoul
1992
日本ではお馴染みの、理髪店のサインポール。これは理容室として世界共通のサインですが、韓国では ちょっと違う意味 を持たれる方々が多いのでは?と。
ソウルオリンピック(1988年)前、ダウンタウン他2丁目メンバー と ツアー&テレビ収録の仕事 で 釜山 に行った時のこと 。ある通りに差し掛かると、やたらとこの ポールサイン があり、地下に下りる階段があるんです。あとでガイドさんにお聞きすると、おとなの事情的なサービス も行う理髪店だとか。今の 韓国 ではどうなのかは不明ですが、韓国の皆さんのリアクション 見てみたいですよね。
この作品、館内の吹き抜けのところに展示していますので、お見逃しなく。

Chapter3
ひろがった道
日韓国交正常化以後
展示風景
画像左1点目
尹亨根
青茶色
Burnt Umber & Ultramarine
1976―77
油彩、麻布
oil paint on hemp
270.5✕139.5cm
国立現代美術館
MMCA Collection
画像左から2点目
李禹煥
点より
From Point
1977
岩絵具、膠、カンヴァス
Japanese pigment and glue on canvas
182✕227cm
東京国立近代美術館
The National Museum of Modern Art ,Tokyo
画像左から3点目
李禹煥
線より
From Line
1977
岩絵具、膠、カンヴァス
Japanese pigment and glue on canvas
182✕227cm
東京国立近代美術館
The National Museum of Modern Art ,Tokyo
尹亨根(ユン・ヒョングン)、李禹煥(リ・ウファン)のキャンバス作品が印象的なこの展示室。
尹亨根 は 激動の20世紀、様々な苦境を乗り越え 大成された作家。1950年前後、パリを中心とした 前衛芸術運動『アンフォルメル』が抽象絵画に旋風を巻き起こしたのに対し、韓国は1970年代中頃から単一色を用いた『単色画』が注目を浴び、尹亨根 は その代表的な作家 。麻布の素材感を生かしながら 塗っては拭き取るという作業を繰り返し、精神性の高い 深みと余韻に満ちた 天と地の門『天地門』を 浮かび上がらせ、アジア現代美術の一時代 を築きました。
李禹煥 は『もの派』を牽引する代表的な作家 で、ヴェルサイユ宮殿 で 『李 禹煥 ― ヴェルサイユ』(2014)という展覧会を開催されたので、ご存知の方も多いと思います。《点より》は たんぽで絵具が薄れていく過程 を、《線より》は 筆で重力や時間の経過 を。群青色の岩絵具 で システマティックに表現 されている 明滅 や 消滅 により、身体性 と 絵画の無限の可能性 を顕著に感じることのできる作品。
他にも 前衛芸術グループのハイレッド・センター(高松次郎、赤瀬川原平、中西夏之)に関するものや、もの派 の 関根伸夫 の作品 。ヴィデオ・アートの先駆者 ナムジュン・パイク の映像作品 や、日韓国交正常化後に 李禹煥 と共に韓国を訪れた 斎藤義重 の作品 などを堪能 。そしていよいよ 、Xコレクション が展示されている Chapter4 あたらしい世代、あたらしい関係 の 中村と村上展(1992年、ソウル、東京、大阪)の展示室へ!
『中村と村上展』は 中村政人 と 村上隆 による展覧会で、ソウルの『OZONE』(1992年7月4日―7月25日)、東京の青山にあった『白石コンテンポラリーアートギャラリー』(SCAI、1992年8月28日―9月19日)。大阪は鶴橋の『メタリアスクエア』(1992年12月4日―12月13日) を、巡回 。
中村 は 招待奨学生 として ソウルの大学院に留学。1992年、中村 は 村上 を ソウル に呼び寄せ、植民地時代から韓国で最も不快に感じる日本人名トップ2 【中村】【村上】を展覧会タイトルにし、ソウル の『OZONE』で展覧会を開催。独立記念公園では、舞踏家 池宮中夫 による街頭パフォーマンスも実施。
中村 の作品《トコヤマーク》は、多くの方々の目に留まるビルの屋上に点灯させて展示していたのですが、ソウル市から「美観を損ねる」という主旨の警告があり、明かりを消した状態で最終日まで展示を決行。こういったことからも、ソウル市民 には かなり刺激的な展示 であったことは、間違いない 。
会場ではそういったものも含めた 記録写真や映像 を展示。

中村政人 作品
展示風景
その後 中村は、ハンバーガーレストラン『マクドナルド』のロゴマーク【M】や、コンビニエンスストア『セブンイレブン』などの 店名を排除したサインボード だけのライトボックス作品を発表。普段見慣れたデザイン が、中村の手 にかかると アート として成立。
2001年の『第49回 ヴェネツィア・ビエンナーレ』日本館では、高さ 4.4m の『マクドナルド』の【M】を円環状に置き、黄色の光に満ちた空間 を出現させ、来館者のド肝を抜きました。
この『マクドナルド』【M】のお手頃サイズのライトボックス ed5。実は私、コレクションしてるんです。Xさん もコレクションしてるんじゃないかなぁ。この作品も含めた 私のコレクション部屋 が雑誌『BRUTUS』でも紹介され、名前は伏せていたのですが、「あれ、おかさんの部屋ですよね?」と何人もの方々に言われた事を思い出します。
さていよいよ、Xさん の 村上隆コレクション の展示に話を移らせていただきます。

Chapter4
あたらしい世代、あたらしい関係
展示風景
撮影:加藤健
まず Xさん が最初にコレクションされた、2点。
画像一番左(上)
Nakamura―Murakami
1992
シルクスクリーン、ステンレス
silkscreen on stainless steel
27✕100✕2.5cm
個人蔵
Private Collection
画像一番左(下)
ナンセンス、オンセンス
Non sense,On sense
1992
シルクスクリーン、ステンレス
silkscreen on stainless steel
27✕100✕2.3cm
個人蔵
Private Collection
村上は東京藝術大学大学院の在学中に、細見画廊で『賛成の反対なのだ』(1991)という、漫画家 赤塚不二夫 の 不朽の名作『天才バカボン』のバカボンのパパの有名なセリフをタイトルにした個展を開催。その後も、赤塚不二夫漫画の登場人物をモチーフにした作品は続きます。
《Nakamura―Murakami》 は横長のステンレスの中心に 赤丸 があり、赤丸の中に 弓矢を持ったバカボンのパパ が トコヤマーク のてっぺんの 赤い球体 に視線を合わせている作品。
《ナンセンス、オンセンス》は、横長のステンレスの真ん中に壁のようなピンクの長方形があり、キャラクターが「ナンセーン ス!!」(左)と叫び、バカボンのパパが「オンセーン ス!!」(右)と叫んでいる作品。世の中 や 日本画 などに対する、真実がねじれていく社会への風刺 が表現されています。
画像左から6番目
ポリリズム
Polyrhythm
1991
田宮模型、樹脂、鉄
Tamiya plastic model,resin,iron
69.5✕44.5✕5.5cm
個人蔵
Private Collection
画像左から3番目(上)
サインボードTAMIYA
Signboard TAMIYA
1991
ステッカー、焼印、合板
Sticker,brand,plywood
49✕72.2cm
個人蔵
Private Collection
画像左から3番目(下)
サインボードTAKASHI
Signboard TAKASHI
1991
ステッカー、焼印、合板
Sticker,brand,plywood
54.9✕70cm
個人蔵
Private Collection
《ポリリズム》は、浄化されたが如く TAMIYA模型の兵隊 が白く塗られ、台座のない彫刻作品のように制作されています。《サインボードTAMIYA》《サインボードTAKASHI》は【TAMIYA】のバックが 赤と青の米国国旗の色 で表現され、両作品には 兵隊の焼印 が押されています。これは 第二次世界大戦 敗戦国ニッポン と 米国 を表現した作品であり、アイデンティティを問題視したコンセプト が散りばめられています。
その他、1960年に発売され大流行した ビニール人形『だっこちゃん』 の、肌の色 を 黒から白 に塗り替えた作品など、村上隆を語る のに 不可欠な初期作品 を網羅。
画像左から2番目
WILD ― い号
WILD ― I―go
1992
ビニール風船、アクリル、ゴム
Vinyl balloon,acrylic ,rubber
個人蔵
Private Collection
WILD ― ろ号
WILD ― RO―go
1992
ビニール風船、アクリル、ゴム
Vinyl balloon,acrylic ,rubber
個人蔵
Private Collection
WILD ― は号
WILD ― HA―go
1992
ビニール風船、アクリル、ゴム
Vinyl balloon,acrylic ,rubber
個人蔵
Private Collection
こういった コレクション を通して思うことは、その時代時代の局面に対してのメッセージが Contemporary Art として表現され、Xさんが掲げる「生きてきた同時代の日本人作家のミュージアムピースを集めて、応援。自分の美術史を創る」や「これからの時代、どういう作家・作品がいいのか?」の答えが、この『中村と村上展』にはあります。
その後、Chapter5 ともに生きる に移動 。高嶺格 は、自身の 在日コリアン2世との結婚式の写真やビデオ 、テキスト を展示 。複雑な感情 や 葛藤 を表現 。

高嶺格
Baby Insa―dong
2004
インクジェット・プリント、モニター、ビデオ(カラー、サウンド)
mixed media Installation;photo,text,video,and sound(35parts;each 20✕95cm)
サイズ可変 dimensions variable
個人蔵
Private Collection
私は、いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年 の展示室を後にし、コレクション展へ移動。こちらにも 高嶺格、そして 小西紀行 のXコレクション が展示されています。

コレクション展
手前の作品
高嶺格
1968年生まれ
I.T.
2000年/平成12年
油粘土、羽根
寄託
新収蔵作品
TAKAMINE Tadasu
born in 1968
I.T.
2000
oil―based clay,bird’s feather
Long―term loan
New Acquisition
奥の2点
画像奥(左)
小西紀行
1980年生まれ
無題
2008年/平成20年
油彩、カンヴァス
寄託
新収蔵作品
画像奥(右)
小西紀行
世界であり、そして彼の旗でもある
2009年/平成21年
油彩、紙
寄託
新収蔵作品
KONISHI Toshiyuki
born in 1980
Untitled
2008
oil on canvas
Long―term loan
New Acquisition
This is the world, and his flag
2009
oil on paper
Long―term loan
New Acquisition
Xコレクションを見終え、私があらためて感じたこと。それは、コレクターは作家から作品を預かっている ということ。
私も含めたXさん などの レコード世代は、ながら ではなく ステレオの前にでん!と座りながらLPを聴き、ライナーノーツを読みながら このアーティストはどのように成長してきたのか? 影響を受けたアーティストは誰なのか?を掘り下げることが価値を見出す手段だった。
そういった土台があるからこそ、アート に対しても 文脈は特に大事な要素 。全員とはいいませんが、コレクター と称したほんの一部の方々 は、作品の質 より 先々の(金銭的)価値 ばかりを追いかけ、購入後も 作品を持つことなく 右から左へと売りさばく。そこには、一番大事な なぜ今 この作品なのか? という確たるものがありません。
アーティストに 表現 があるように、現代への問い掛け があるように、コレクターにも同様 表現 があり、現代への問題提起 があります。そして作家、作品に共感し、とことん惚れ込む。えっ、なに?「そこに愛はあるんか?」とのご指摘ですか。はい!『愛』なくして コレクター は務まりません。
作品は 優れた視点で時代をあぶり出す装置 であり、優れたコレクターはそれを後世に伝えていく エバンジェリスト としての役目がある。
Xさんは、幼い頃に 描き方 や 絵の見方 を学び、切手やポスター収集 で コレクションすることの喜び を感じ、切手で培ってきた 美的感覚 と、絵の見方 から導き出した 突き詰めること が 版画購入 へと誘導され、それを 理想的なカタチに構築し 版画制作へと着地。
それもこれも『魅せる』という コレクター気質の核 が根底にあるからこその、アート道。
いやぁー、やっぱり私が尊敬するコレクターさんです。素晴らしい。
最後に、メッセージをいただきました。
X「コレクターの皆さん、コレクションを長く続けるつもりはありますか?すぐ売ったら縁が切れる。縁を楽しまないと、面白くない」
私もXさんも、35年以上コレクター続けてますからね。
X「今の作品が高くて買えなかったとしても、作家さんの初期作品 なら何とか手に入る。将来きっと貴重になり、評価が高まる。って感じで、自分の眼を信じて 集めていけばいい。SCAIさん、置いててくれて、分割でも売ってくれて 本当に有難かった」
そうですね。
置いててくれたから、今回のコレクションも成立したわけですからね。これも ギャラリー と コレクター の 愛 ですよね。
この日、全国的に大寒波が到来し 横浜美術館 前も雪景色でしたが、来館後 興奮冷めやらぬ!でちっとも寒くなかった、あとひと月くらいで65歳になる 私でした。
横浜美術館の皆さま、Xさん。長時間の取材へのご対応、ありがとうございましたぁ〜♬
横浜美術館リニューアルオープン記念展
いつもとなりにいるから
日本と韓国、アートの80年
横浜美術館
会期
2025年12月6日(土)― 2026年3月22日(日)
開館時間
10時~18時 ※入館は閉館の30分前まで
休館日
木曜日
主催
横浜美術館、国立現代美術館
観覧料
一般
2,000円
大学生
1,600円
中学・高校生
1,000円
小学生以下
無料
ペア券(一般2枚)
3,600円
※一般観覧券2枚組のセットです。一般観覧券を個別に2枚購入するより、400円お得なチケットです。
※2枚単位でご購入ください。
※2名様同時にご観覧する以外にも、1名様で別々の日に2回観覧も可能です。購入されたペア券を分配して別日にご利用いただけます。
美術館サイト
https://yokohama.art.museum/
Instagram
@yokohamaartmuseumofart
おかけんた
1961年3月28日生まれ。1983年に漫才コンビ「おかけんた・ゆうた」を結成。1986年「第17回NHK上方漫才コンテスト」優秀賞、1997年「第32回上方漫才大賞」奨励賞、1999年「第34回上方漫才大賞」大賞など。
並行して、アート分野で活動を開始。1994年〜1995年「東京国際AU展」作品展示(東京都美術館 )。1995年株式会社スプーン公募展でグランプリを受賞。1996~1998年「OCHA(大阪コンポラリーヒューマンアート)」をプロデュース。2014年からは「京都国際映画祭~映画もアートもその他もぜんぶ~」 でアートプランナーを務めた。「ART FAIR TOKYO」アートトーク (2007年~2010年)、「ART OSAKA」イベントMC (2008年~2012年)、「草間彌生 永遠の永遠の永遠」 国立国際美術館 ギャラリートーク (2012年)、ギャラリー A―LABのアドバイザー(2015年~)、京都精華大学客員教授(2018~2020年)、「茨木映像芸術祭」審査員(2021年)、「Any kobe2022」トークイベント (2022年)などを歴任している。

