Island
永井 英男
Hideo Nagai
ギャラリーノマル
♪えぇ~京都市役所の前でタクシーで信号待ちをしている時、運転手さんが思わず二度見。
「ばっ 馬場!」
これは私がアートプランナーを務めていた『京都国際映画祭~映画もアートもその他もぜんぶ~』(2016) の際に、京都市役所前広場に設置・公開された全長7m、総重量約2.0トンの大型作品《B-PROJECT“へそで投げろ”》(2011)。
ジャイアント馬場が車をバッグドロップしている大型作品に、当時の門川大作市長もご満悦。「毎年、この広場のモニュメントと、多くの人の笑顔を楽しませていただいております」と、取材陣を京都市役所・市長公室に招き入れ、その窓からの絶景に門川市長もニコリ。
その力強さとユーモアを兼ね備えた作品を制作されたのが、“ 巨匠 ” の愛称で親しまれているアーティスト、永井英男氏。
近年では沖縄での芸術祭『やんばるアートフェスティバル 2022-2023』、『やんばるアートフェスティバル 2023-2024』にも参加。今回のギャラリーノマルでの展覧会『Island 永井英男 Hideo Nagai』は、このやんばるでの作品を再構成された展示や、平面や立体などの新作を発表。
まずセンターに展示されているのは、《sand child on the beach》 (2024)。
これは主に、沖縄の海岸の砂や星の砂で構成されている新作砂像。やんばるでの展示会場となった廃校、 “ 大宜味村立旧塩屋小学校 ” での子供たちの残像や時間などを呼び起こさせてくれると同時に、植物プランクトンの脱け殻でできている星の砂や珊瑚のかけらが、問題視されている環境破壊に一石を投じる作品。
《sand child on the beach》の斜め上に展示されているのが、大宜味村立旧塩屋小学校の図書室で展示されていた《Time For Children “wall” 》(2022) 。
子供2人が天井近くで突っ張ってるんですが、Tシャツには【051572】と【051522】 という数字が!?
永井「けんたさん、【051572】って何かわかります?」
一瞬頭の中で【051572】→【レゴ囲碁ナニ?】などの数字の言葉遊びをいくつか積み上げてみましたが、即撤収。
【051572】は1972年5月15日、つまり沖縄返還の日。Tシャツに描かれているモザイクのモチーフは、エリザベス女王やジェーン・フォンダ、ベースボールマガジンの表紙を飾った長嶋茂雄など、1972年5月15日に国内外で話題となった人物。
そして【051522】2022年5月15日は、沖縄返還から50年後ということで、Tシャツには世界中で話題になった皆既月食がデザインされています。
沖縄返還という歴史的な日【051572】と、永井氏が沖縄の歴史や自然、そして島人(シマンチュ)に強いシンパシーを受け始めた沖縄返還50年後の【051522】。そこには沖縄に対するリスペクトと、大宜味村立旧塩屋小学校の子供たちの記憶と島の未来が、さざ波のように打ち寄せてきます。
他にも、砂とメディウムを混ぜて制作されたミクスドメディア作品や、セラミックで人や樹木を珊瑚のように表現された作品などがあり、空間全体を大小の島々に見立てた壮大なインスタレーション『Island』となっています。
2階には大宜味村立旧塩屋小学校の卒業生の方々が思い出を語ったトーク映像、そして新作ドローイングもあり、まさに沖縄一色の展覧会。
永井「初めて観る人も多いと思いますが、こういう世界もありますよ!という感じで観てもらえたら嬉しいです」
私も何度か沖縄には行ったことがあり、その美しい海と育みの土にはとても心惹かれます。今回永井氏はセラミックで珊瑚を、そして砂でシーサーを制作。共に海と土から生まれたもので、作品そのものが沖縄を象徴するもの。つまり、島の宝と一心同体になったと言っても過言ではないかもしれません。
あぁー、BEGIN の『島人ぬ宝』めっちゃ聴きたなってきたぁー!
巨匠!
ほんまに巨匠になれる日、近いかもぉ~♫
Island
永井 英男
Hideo Nagai
ギャラリーノマル
2024.6.22(sat) – 2024.7.20(sat)
13:00 – 19:00 日曜・祝日休廊
Closed on Sunday and National Holiday
〒536-0022 大阪市城東区永田3-5-22
永井英男
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