『Interactions』 Curated by Tomoko Sawada
Laugh & Peace Art Gallery
澤田知子 須藤絢乃 栗棟美里
♪えぇ~ 20年以上前、大阪のとあるアートスペースで
「おかけんたさんでよね?澤田知子といいます。私の作品です!」
と見せてくれたのは、澤田さん本人がガングロの子ギャルになり、満面の笑みと無表情の2パターンで構成されていた、『cover』(2002)という個展のDM。
「これ全部、自分でやってんのん? スゴいですね!」
と言いながら、私おかけんたがガングロになったら?ということを一瞬想像し、「焦げた手羽先やがな」と心の中で呟き、苦笑いを浮かべたことを今でも覚えています。
それから2年後、澤田さんは写真家に贈られる権威ある賞 『木村伊兵衛写真賞』(2004)を受賞。
そして20年後、Laugh & Peace Art Gallery にて自らキュレーションを行った3人展 『Interactions』 Curated by Tomoko Sawada を開催。
その3人が、澤田知子さん、須藤絢乃さん、栗棟美里さん。マジなこと言いますよ。この3人展が行われるなんて、奇跡。私にとってはマドンナ、セリーヌ・ディオン、ホイットニー・ヒューストンが同じステージに立つようなもの。それも東京ではなく、大阪で!
今回の展覧会タイトル 『Interactions』 は、相互作用 “3人の作品が影響しあう” という意味プラス、 “見る見られる” と “実在と不在” など、作品に含まれる関係性が象徴されているタイトル。
まず澤田知子さんは、関西では18年ぶりのお披露目となる 『OMIAI♡』 シリーズを、ギャラリー受付後方の壁面に展示 (画像①②) 。日本の伝統的な男女の出会いの第一歩となる、お見合い写真。そこには澤田さんが探求されている外見とは?内面とは?というテーマと、時代は変われど日本人の普遍的な心は変わらないという確たる思いが詰め込まれています。で、この 『OMIAI♡』シリーズなんですが、以前にある展示会場で人気投票を行った結果、大阪での一番人気はコレ! (画像③)
会長!と呼ばれている高級クラブのラスボス感満載ですよね。
ちなみにその都市によって人気NO.1は違うそうです。当ててみるのも、こりゃまた楽しっ!
続いては、
「私、堀江小学校に通ってたんです」
えっ、堀江ってミナミからめっちゃ近いぃー!と皆さんをびっくりさせたのは、須藤絢乃さん。
難波は子供の頃の遊び場だったそうで、90年代のファションや人間観察が面白く、とても刺激を受けたそうです。あと自宅近辺が花街だったそうで、ミナミも含めた子供の頃の記憶が現在の仕事に影響を与えているのかもしれません。
そんな須藤さんと始めてお会いしたのは、とあるアートフェア。セルフポートレートの写真作品を展示されていたのですが、試行錯誤して制作されている姿がとても初々しかったのが、記憶に残っています。その後実際の行方不明者の少女に自ら扮したシリーズ『幻影 Gespenster』で、『キヤノン写真新世紀』(2014)のグランプリを受賞。
「けど、写真の撮り方知らなかったんです」
えぇー!マジッすか!!
実際はオートで撮ってもらってたそうです。
周りが面白がってくれているのに、実力が伴っていない・・・。
そんな時にキャノンさんからカメラとレンズをいただき、一眼レフの性能のスゴさに感動し、そこから作品が激変!
本展では、「Vogueを自分で作る!」と一念発起しコロナ過にスタートさせた、表現者を被写体としたアートマガジン 『薄荷 The peppermint magazine』 の掲載写真を展示 (画像④⑤⑥) 。作品から漂う芳烈な美の香りは圧巻!
最後は、一番お会いする機会が多い栗棟美里さん。
Laugh & Peace Art Gallery を訪れた時、「ここにあるんだ!」とそのロケーションにビックリ!
「3人は写真という共通点はあれども、アウトプットが違います。通常のギャラリーではできないことをやりたい」
そんな栗棟さんは、大学では版画を専攻。版画で写真を表現されてるうちに、ファンデーションなどを用いたミクストメディアへと移行。存在・時間・本質とは何か?形あるものはいつか壊れてしまうという、儚さ。初期の花の作品からは、そんな生命の表現がヒシヒシと伝わってきます。そんな段階を経て、作品はやがてポートレートへ。
今回の作品は、データを組み合わせることにより生まれる”存在しない人物”をレンチキュラーの効果を用いて表現 (画像⑦⑧⑨) 。
存在するというリアルと、デジタルデータによるリアリティー。ディスプレイ越しのコミュニケーションによって浮上する、人という存在。この作品は、存在というものを俯瞰で見ることができる貴重な作品である、と私は思います。
最後に、この展覧会についてお話していただきました。
澤田「ギャラリーというのは敷居が高いですが、ここは立地的にも見やすいし、入りやすい。おじゃまします!というような遊びに来る感覚で、観に来てください」
須藤「自由な表現、自分のカラを破って勢いで作っていると楽しい。そんな楽しさを感じてほしいです」
栗棟「存在に対する視線、アウトプットが違うポートレートで空間を感じてください」
実はこの展覧会、私おかけんたが澤田さんに 「澤田知子とゆかいな仲間たちっていう展覧会どうです?」とムチャ振りしたのがキッカケ。
それがこんな豪華な展覧会になるなんて、私の人生の予定表には載っていなかった出来事。
皆さんイベントもありますので、是非とも足をお運びくださいませぇ~ ♫
『Interactions』 Curated by Tomoko Sawada
Laugh & Peace Art Gallery
【作家】
澤田知子
須藤絢乃
栗棟美里
【日程】2024年6月13日(木)~17日(月)
【営業時間】13:00~18:00
【定休日】火・水
【入場料】無料
【会場】Laugh & Peace Art Gallery (大阪市中央区難波千日前3-15 吉本本館1F)
【ギャラリー公式HP】https://laugh-peace-art.com/lpag/
★栗棟美里、澤田知子によるポートフォリオレビュー
【日時】2024年6月15日(土)
①14:00-14:15
②14:20-14:35
③14:40-14:55
④15:00-15:15
⑤15:20-15:35
⑥15:40-15:55
お1人様15分(6名様まで) ※①③はSOLD OUT
チケット発売日 4月22日(月)11:00 ~
【前売りチケット】5,500円(税込)
チケット購入 https://yoshimoto.funity.jp/r/interactions/
レビュー中も展示はご覧いただけますがレビューの見学不可、申し込みご本人様のみのお時間となります。
★栗棟美里、澤田知子、須藤絢乃によるトークショー
【日時】 6月16日(日) 14:00-15:30
参加費無料 トーク後、サイン会あり
澤田知子 HP
https://tomokosawada.com/
Instagram
@tomokosawada_artist
須藤絢乃 HP
https://ayanosudo.tumblr.com/
Instagram
@ayano_sudo
栗棟美里 HP
https://www.misatokurimune.com/
Instagram
@m.kurimune