おかけんたの「えぇ~アート」#05

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鈴木雅明 | Masaaki Suzuki

TEZUKYAMA GALLERY | Viewing Room


♪えぇ~ 鈴木雅明氏のお話の前に、こんなキャッチフレーズを。

ひとりぼっちでいる時のあなたに
ロマンチックな
灯をともす
便所場の電球みたいな
桂三枝でぇーす

これは桂文枝師匠が三枝時代にやられてた、深夜ラジオ番組のお決まりのフレーズ。私が幼い頃に行った母親の実家は便所が外にあり、夜の裸電球の光にホッとしたと同時にチビりかけた記憶があります。
裸電球に限らず、光って印象的ですよね。
そんな光と夜景をモチーフにされている鈴木雅明氏の展覧会が、18年ぶりにTEZUKYAMA GALLERYさんで開催。

鈴木「月明かりって物語の表現を感じますが、人工の光って何もなく空白のような感じ。そんな人工的な光をテーマにしたら、何が見えてくるのか?」

鈴木氏が最初に描かれた光は、ナント防犯のセンサー。写真で撮影すると、自分自身が二重三重にブレることが妙に面白く、そこから光をモチーフに作品を制作。その後、手ブレやボケるなどの鮮明ではない夜景写真の方がカタチが省略でき表現しやすいということに気づき、夜景をシリーズ化に。画像①は、左が光のデビュー作品《sensor light / センサーライト》2004 oil on canvas、右が 20年後に同じ場所で描かれた《afterimage of the night》2024 oil on canvas。現在はライトもLEDになり、20年前の蛍光灯の光の見え方とは一変。そこにはリアルに描かれた風景画ではなく、光に照らされることにより生まれる夜景への記憶が刻み込まれています。

画像①

その光がにじんだような夜景シリーズは瞬く間に人気を博し、コレクターさんたちがよく口にする若手ブームが到来。その真っ只中の2006年に帝塚山画廊(移転後 TEZUKYAMA GALLERY)さんで開催された、鈴木雅明展。その頃の鈴木氏は超ぉー多忙で、描いては売れ、描いては売れの連続で、自分自身がスポットライトを浴びまくりぃー。
だが、光があれば影もある。
明暗、その日は突然訪れた。

「夜景が描けない」

2010年頃から夜景以降の方向性が見付からず、暗中模索。二年に一度、地元名古屋で個展を開催しながら、自分でギャラリーを営みプロデュースをされたり、教壇に立たれたり。
やがて2019年に、針金と球体などで光と影を表現された『机上の光』シリーズを発表。夜景シリーズの延長線上にある素晴らしい静物作品なんですが、やはりあの夜景シリーズをもう一度観たい!そんな思いを、川部昭隆氏(現BEAK 585 GALLERY代表 )というコレクターさんが「夜景シリーズの展覧会をやりませんか!」と、鈴木氏に直訴。そのアツい思いに鈴木氏も背中を押され、週5日の非常勤講師の合間に制作を開始。集中して描くうち、作品を作ることでしか味わえない感情が湧いてきて「まだできる、まだやれるじゃないか!」と希望に満ち溢れ、鈴木雅明 個展
都市の光 / 机上の光(神戸 元町 歩歩琳堂画廊)を開催。結果は大盛況!

画像②
画像⑤
画像③
画像⑥
画像④
画像⑦

その後、作品制作の依頼が殺到。満を持して、今回の展覧会と相成りました。

鈴木「今回は、自分の中で思い切って試させていただきました。道路とか人とかが溶けてるような描写は、風や時間などが関わっています」画像⑧ 《afterimage of the night》(from the footbridge) 2024 oil on canvas

画像⑧
画像⑨

夜景シリーズは、記憶を呼び起こす装置。光があぶり出す気配そのものに、過去・現在・未来が閉じ込められているのかもしれません。

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鈴木雅明 | Masaaki Suzuki

TEZUKAYAMA GALLERY | Viewing Room

2024.5.17 [Fri] – 6.15 [Sat]
TUE – SAT | 12:00 – 19:00

TEZUKAYAMA GALLERY Site
https://www.tezukayama-g.com/

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鈴木雅明 Site
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おかけんた
1961年3月28日生まれ。1983年に漫才コンビ「おかけんた・ゆうた」を結成。1986年「第17回NHK上方漫才コンテスト」優秀賞、1997年「第32回上方漫才大賞」奨励賞、1999年「第34回上方漫才大賞」大賞など。
並行して、アート分野で活動を開始。1994年〜1995年「東京国際AU展」作品展示(東京都美術館 )。1995年株式会社スプーン公募展でグランプリを受賞。1996~98年「OCHA(大阪コンポラリーヒューマンアート)」をプロデュース。2014年からは「京都国際映画祭~映画もアートもその他もぜんぶ~」 でアートプランナーを務めた。「ART FAIR TOKYO」アートトーク (2007年~2010年)、「ART OSAKA」イベントMC (2008年~2012年)、「草間彌生 永遠の永遠の永遠」 国立国際美術館 ギャラリートーク (2012年)、ギャラリーA-LABのアドバイザー(2015年~)、京都精華大学客員教授(2018年~2020年)、「茨木映像芸術祭」審査員(2021年)、「Any kobe2022」トークイベント (2022年)などを歴任している。