スピリチュアルマシーンズ
島田辰哉 x 小町渉
世界倉庫
♪えぇ〜美術館にコレクションが展示されるということは、大変光栄なこと。京都府乙訓郡にある アサヒグループ大山崎山荘美術館 で『かんさいいすなう 一 人は椅子にすわって考える?大山崎山荘にすわろう』(2011年6月17日 – 9月25日)という展覧会に、私が大阪の イナート・ギャラリー で2005年に購入した 小町渉 氏制作の椅子の展示依頼があり、びっくり。
内覧会当日、その展示を観て2度びっくり。なんと、橋下徹 氏(大阪府知事)と 山田啓二 氏(京都府知事)両知事の椅子 の間に、私の椅子が展示されているではないか!
それから数日後、「誰かネットに上げてないかなぁ」と おかけんた・大山崎山荘美術館 と検索してみると、ありました!
◯◯のブログ
大山崎山荘美術館 の 『かんさいいすなう 一 人は椅子にすわって考える?大山崎山荘にすわろう』に行ってきました。気に入ったのは3脚の椅子。
橋下徹 大阪府知事さん
山田啓二 京都府知事さん
おかけんた
オレだけ 呼び捨てかぁーい!それもひとつスペース空けてるって、どういうこと!・・・って、多分そういうことやねぇ。
それはさておき、小町渉 氏のおかげで貴重な体験をさせていただきました。ご来館くださった皆さま、有難う御座いました。そんな椅子の制作者 小町渉 氏の作品が展示されている展覧会『スピリチュアルマシーンズ
島田辰哉x小町渉』が、京都 の 世界倉庫 で5月30日(金)まで開催中。

展示風景
小町渉 氏は東京の新宿生まれで、世田谷育ち。自宅近くには、小澤征爾(指揮者)、森山直太朗(歌手)、及川光博(アーティスト)など有名人の卒業生が多い 成城学園 があり、『世界のミフネ』 と言われた 三船敏郎(俳優) の自宅があり、スーパーには 中村雅俊(俳優)がよく買い物に来ていたというから、超羨ましいぃー。そんな高級住宅地に住居を構えていた 小町家 。お父さんは、著名な作曲家 小町昭 先生。沢ひろしとTokyo99『愛のふれあい』で 日本レコード大賞 で賞を受賞し、大映株式会社 の 『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』の ガメラの歌 の 作・編曲も手掛けた、ヒットメーカー。うわぁー こんな家庭環境やったら、歌番組 や 怪獣映画 をお父さんと一緒に見てはったんやろなぁー と思いきや、
小町「父はいつも部屋でピアノ弾いてるから入れないし、歌番組や怪獣映画には興味がありませんでした」
小学校の頃、渉少年が興味を唆られていたのは、漫画少年ジャンプ の『ドカベン』や 刑事ドラマ『太陽にほえろ!』。特に 坂上二郎 主演の刑事ドラマ、『夜明けの刑事』が大好物。
小町「Bad Company(バッド・カンパニー)の時の Paul・Rodgers(ポール・ロジャース)が『夜明けの刑事』の挿入歌『Yoake no Keiji』を歌ってて、何処の国か分からないへんてこりんな感じが好きで、この曲を聴くためにドラマ見てました」
えっ、二郎さんが見たかったんじゃなくて、そっち!?
父が キングレコード からもらってきた サンプル盤 を「一緒に聴こう」と言われ、よく音楽は聴いていたそうです。兄が David Bowie(デヴィッド・ボウイ)好きで、その影響もあり、最初に地元のレコード屋さんで買ったのは T. Rex(T・レックス)の Solid Gold Easy Action(イージー・アクション)と洋楽。
中学では、釜本邦茂 選手や 奥寺康彦 選手に憧れ、サッカー部に入部。高校生になると 、帝京高等学校サッカー部 に入部するが、1ヶ月足らずで退部。
小町「部員が150人位いて指導も厳しく、中学の頃は先輩が2人しかいなかったので、上の人からいろいろ言われたことがなかった」
やがて興味はサッカーから、兄も好きだったパンク・ロックへと移行。地元のレコード屋さんで「アナーキーのLPが出るから取り寄せてください」と予約。友達は20代が多く、家に行って The Clash(ザ・クラッシュ)や Ramones(ラモーンズ)などのレコードを聴きまくり。髪型もパンクっぽくし、カミソリで髪の毛を切って立たせていたら、先生から「おぉーい小町、カミナリ落ちたのかぁー」なんて言われることも。ファッションも黒のTシャツ、ジーパン、赤い靴下で、バンドっぽいこともやっていたそう。実は兄の 小町裕 氏は、著名なバンド『アブラダコ』のベーシスト。 渉 氏が大学に行かずギターでバンドを渡り歩いてたら、「裕の弟のバンド」とよく言われ、それが嫌だったそうです。そして30代を迎えようとした時、ある依頼が。
小町「バンドのチラシのデザインやギターにコラージュとかしてたら、映画の配給会社の方から『自分でやったのか!』と言われ、Dennis Hopper(デニス・ホッパー)監督・主演映画『ラストムービー』のパンフレットのコラージュをやってみないか?という話があったんです」
おぉー、これは急展開。
話は続きます。
小町「デニス・ホッパー が私の作品を欲しがってると連絡があり、雑誌『BRUTUS』の取材でロサンゼルスのベニスビーチにある デニス・ホッパー の自宅兼スタジオに行き、作品をプレゼント。ありがとう と喜んでくれました」
コレクターで著名な デニス・ホッパー 氏の自宅には、 Jean-Michel Basquiat(ジャン=ミシェル・バスキア)や Robert Rauschenberg(ロバート・ラウシェンバーグ)などのコレクションがあり、「わぁー、スゴい!」と 小町 氏も感激。
デニス・ホッパー 氏が来日された際も作品を観てもらい、その時アートに関してこんな話をしてくれたそうです。
デニス・ホッパー「本物の方が下手くそで、偽物の方が上手い。お手本があるから、偽物は上手いんだ」
うーん、名言ですね。
そんなこんなで30代前半、バンドから脱退しアートワークに専念。さぁー、これからくるぞ!くるぞ!と、もうワクワクが止まらない!!
小町「それが全然仕事こなかったんです」
ガクっ。
その後、家具の ザ・ペニーワイズ で配達と修理のバイトをしながらアートの仕事をやろうとしたんですが、ノウハウが分からない。とりあえず雑誌とか見ながら、壁に絵が掛かっているところを見付けては「会ってほしい、絵を描かせてほしい」と直談判しますが、なかなか上手くいかない。数え切れない程コンタクトを取った結果、下北沢の床屋さんの壁に絵を描かせていただくことになったのが最初。そして、アート・ディレクションやグラフィック・デザイナーを経て、ディープギャラリー で本格的な初個展を開催。
小町「すぐにできるもの、レディメイドにデザインすることに興味があった。音楽も、詞と曲があっての編曲の方が向いていると思いました」
2003年、大阪の イナート・ギャラリー でレディメイドにデザインされた ソファや椅子他の作品を展示。その時私が購入させていただいたのが、冒頭に紹介させていただいた椅子。2005年には COSMIC WONDER(コズミックワンダー)とコラボレーション。それに、クラブ UNDER LOUNGE(アンダーラウンジ)の壁画や、VIPルームのソファのリノベーション。そしてデザインタイドトーキョー では、倉庫に眠っていた誰も見向きもしない花瓶の作品にデザインを施した作品が、大賞を受賞。
小町「変換で、見方も変わります」
ここからパリでの仕事が動き出し、Christophe Lemaire(クリストフルメール)と仕事をしたり、パリのデパート ボンマルシェ や セレクトショップ コレット で展示をしたり、パリを拠点にイギリスにも行ったり。
小町「海外に居ながらも、日本を意識してました。やっぱり、落ち着くんです」
東京ではバンドのアートワーク依頼があり、THE BOOM(ザ・ブーム)や THE PRIVATES(ザ・プライベーツ)のアルバムジャケットなどの仕事が舞い込んできて、さぁー、今度こそくるぞ!くるぞ!と、もうワクワクが止まらない!!
小町「けど、やってるうちに何か違うな…と思い、レコード会社と事務所にジャケットデザインはやりません、と連絡しました」
ガクっ。
あらま、勿体ない。
小町「やるんだったらアートをやりたい。頼まれたものはやらない」
収まってしまうことへの抵抗。内から溢れ出るものを自由に表現したいという、切望。
そんな時目にしたのが、とある洋雑誌に掲載されていた ロンドンのギャラリー での Tシャツ展示 の記事。
小町「Tシャツが全部一点もの。マジックで書かれていて、5万円から6万円くらいで売ってました。古着の価値の変換、Tシャツの一点もの。これだ!と思いました」
それから EDIFICE(エディフィス)、HYSTERIC GLAMOUR(ヒステリックグラマー)、jouetie(ジュエティ)等とのコラボレーション。
そして今年の2月から3月、小町渉 氏と ファッションスタイリストの 島田辰哉 氏によるインスタレーションの展覧会『SPIRITUAL MACHINES』を、原宿の Domicile Tokyo(ドミサイル東京)で開催。
小町「島田さんはスタイリングがアート的で、ご本人もアートに興味があるということで、一緒にやろう!ということになりました」
その Domicile Tokyo の展示の拡大版が、京都の 世界倉庫 で実現。原宿とはまた違うインスタレーションになっています。



展示風景


小町「京都で自分のアンテナに引っ掛かったものによる、その場にしか出来ないインスタレーション。アートは、うっかりと手が出せないお金が掛かるもの。それをパンクとかのように、誰にでも出来る!と思わせること」
アートってこんなにラフでいいの?と感じることのできる展覧会。
島田辰哉 氏にもお話をうかがいました。
島田「スタイリストやりながら、自分で作れる展示をやりたい、表現したい。小町さんとのコラボも肌触りがよく、相性がいい」

島田辰哉 展示


小町 氏にも 島田 氏のことをお伺いしました。
小町「島田さんは具現化ができ、フォーカスが定まっているから、スタイリングが潔い。スカッとすると同時に、新しいことをやりたいなぁと感じさせてくれます」
ONE・TWO・THREE GO!と、音楽的な感覚でセッションをされているようなインスタレーション。
小町 氏は アルバムジャケット から アート へ、島田 氏は スタイリング から アート へ。共に コミッションワーク的な仕事から解放される ことにより 新たな自分 と出会い、次のステージへと誘われる。そこには 音楽 という 最先端のツール が進化を促し、アート という表現が 質と価値 を生んでくれる場になっていることを再確認させてくれる、展覧会でした。
小町さん、これからもパンクな人であり続けてくださいねぇ〜♬

展示風景
スピリチュアルマシーンズ
島田辰哉 x 小町渉
世界倉庫(京都)
2025年4月25日(金)-5月30日(金)
11:00-18:00
月曜日定休(5月5日は営業)
※5月8日(木)振替定休
世界倉庫
京都府京都市下京区筋屋町144
*同時開催
KIDILL (キディル)
4月25日より京都藤井大丸7階(KIDILL)店舗にて
島田辰哉と小町渉によるアートクローズの展示販売ポップアップ開催
京都藤井大丸
京都府京都市下京区貞安前之町605
小町渉 Instagram
https://www.instagram.com/watarukomachistudio?igsh=MTdpcjV6azE4ZmY3
島田辰哉 Instagram
https://www.instagram.com/tatsuyashimada1984?igsh=b21kNnE1Z2JxOHl4
世界倉庫 site
https://sekaisoko.com/
世界倉庫 Instagram
https://www.instagram.com/sekai_soko?igsh=MmNrZmlsMDB4YXBw
★展示概要 抜粋
進化の臨界点ともいえる現代、Ai は急速な速さでより高度な知性を持ち全知全能になることが予想され、新たなる存在の神が現れると提言されている。
今展示ではそれらの現象を感覚的に捉え、オブジェや言葉によるアート表現にて 進化の過程を可視化する展示となります。
おかけんた
1961年3月28日生まれ。1983年に漫才コンビ「おかけんた・ゆうた」を結成。1986年「第17回NHK上方漫才コンテスト」優秀賞、1997年「第32回上方漫才大賞」奨励賞、1999年「第34回上方漫才大賞」大賞など。
並行して、アート分野で活動を開始。1994年〜1995年「東京国際AU展」作品展示(東京都美術館 )。1995年株式会社スプーン公募展でグランプリを受賞。1996~1998年「OCHA(大阪コンポラリーヒューマンアート)」をプロデュース。2014年からは「京都国際映画祭~映画もアートもその他もぜんぶ~」 でアートプランナーを務めた。「ART FAIR TOKYO」アートトーク (2007年~2010年)、「ART OSAKA」イベントMC (2008年~2012年)、「草間彌生 永遠の永遠の永遠」 国立国際美術館 ギャラリートーク (2012年)、ギャラリーA-LABのアドバイザー(2015年~)、京都精華大学客員教授(2018~2020年)、「茨木映像芸術祭」審査員(2021年)、「Any kobe2022」トークイベント (2022年)などを歴任している。